9月1日から2週間、法科大学院生のKさんが、エクスターンシップ生として当事務所で研修に取り組みました。
研修を終えるにあたって、感想を書いてもらいました。
【法科大学院生 Kさん】
あ・うん法律事務所にて、10日間のエクスターンシップに参加させていただきました。
実習期間中は、事件記録の閲覧、法律相談、弁護団会議やWEB会議の傍聴などを通じて、法律実務の現場を肌で感じる貴重な経験を得ることができました。
特に、依頼者の主張から背景事情や真意を読み取るには、単なる法律知識だけでなく、人間の心理に対する深い理解が求められることを実感しました。このような経験を通して、犯罪心理学を学ぶ意義を強く感じました。法律を使って紛争を解決するには、法理論に加え、当事者の行動や感情の背景を理解する力が不可欠であると気づかされました。
また、今回のエクスターンシップを通じて、国語力の重要性も改めて認識しました。法的な主張を明確かつ説得力ある形で伝えるためには、正確な言葉の選択と論理的な構成が欠かせません。さらに、相手方の主張を正確に理解し、真意を汲み取るためにも、高度な読解力・表現力が求められます。国語力は、単なる文章作成の技術ではなく、相手を説得し、同時に相手の立場や考えを理解するための重要なツールであることを実感しました。
今後は、法律知識の習得に加え、犯罪心理学や国語力といった基礎的かつ実践的な力も意識的に磨き、より多角的な視点から問題解決に取り組める法曹を目指して努力して参ります。
最後に、このような貴重な機会をくださったあ・うん法律事務所の皆様に、心より御礼申し上げます。
人と人とが繋がるべきはずの糸のもつれや、国と国との埋め難い溝も、それぞれ直接相手の目を見ながら、相互に理解できる言葉のキャッチボールを続ければ、やがて絡み合う糸もほぐれ、心暖まる交流が始まるかも知れない。翻って現実社会を見ると、若い人たちの伝達手段は、あたかもデジタル化した記号のやりとりのようなショートメールであったり、政治家にしても、簡にして要を得た、とばかりの説明を省いた思いつくままの言葉の羅列が目につく。さらには最近「将来に希望がない、自分の人生を終わらせるために誰でも良いから人を殺したかった」などという一見説明のつかない不合理な理由で、世間の耳目を強くゆさぶる事件が多く、心が痛むばかりだ。
直接会って相手の話を良く聞き、また聞かせるツールこそ国語力によるコミュニケーションだ。司法の世界でも、国家権力(裁判所、検察庁、警察その他)が、良く人の話を理解しないまま短絡的に不合理な心証を押し付けてくるとしたら、たまったものではない。
普通の人であれば、動機のない犯罪など犯すはずがないのであるから、司法にたずさわる者は、心して国語力を磨いてほしい。
弁護士 山田宰